川本孝の大阪弁口座 |
川本孝の大阪弁口座『あほ』 大阪弁の代表選手は『あほ』である。関東圏の『馬鹿』とはかなり違う意味合いを持つ。東日本で『馬鹿』はかなり相手を攻撃したり、非難したりする言葉である。東京の神田明神下で『馬鹿野郎』は喧嘩寸前であり、発せられた後の修復は難しい。大阪の上本町6丁目での『あほ』は簡単に修復可能である。 『あほ』は広い意味を持つ。例えば『違うよ』という場合に使われる。 愛妻:あんたあ、はようおきな お天道様がどっかいくに 旦那:あほぉ 愛妻:そんなんやからいつも仕事に逃げられるやろ 旦那:あほ! 愛妻:そやからうちんとこは秋刀魚しか食べれへん 旦那:秋刀魚嫌いか? 愛妻:あほ また『あほ』には親しみがこめられている。初対面では『あほ』は言い辛く、使用できない。仲良くなると会話に『あほ』が登場する。 女:こないだ貸した¥1000返してくれへん 男:あれて一緒にたこ焼き食べたやんか 女:あほなこといわんといて、貸してくれていうたやんか 男:あれはたこ焼きやのおっちゃんがムーンウォークしたから見てこて、あんたが言うたんやで 女:3個しかくれへんかった 男:あほぉ紅しょうがライスいっぱい食うてた 女:あほなこといわんといてあれはおっちゃんがサービスていうてたんよ 男:あんたおつり持っていきよったがな 女:あほなこと・・・そやっ忘れとった、あほや また、『あほがおるか』とは、お前が一番のあほやという意味である。 親方:ああ、あかんがな、そこはちゃんとしとかな 小僧:そんなこと言うても、親方はんがちゃんと戻しとけばそれでええんやていうた 親方:それはかなづちの話やないか うちのかみさんのブラジャーを頭に巻いて仕事するあほがおるか 小僧:ここにいてるけど 親方:あほぉ!あほがあほなことして本当にあほになったらどうするんやあほ。 (2010.6.24[Thu]) |
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