モデルガン・エアガン・カスタムガン販売のキャロムショット

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CAROM独立への道その5
つぼみでバーテンその5
『ママよくわかった今から返してくる』と言って店を出た。向かいのお店の引き戸をガラガラとあけた。思わずこぼれるような笑顔をした女将が『まあいらっしゃい』とあいさつしてきた。『これ返しに来ました』と¥4500を差し出した。訳を話すと急に悲しそうな顔をして『なぜ私が毎日あなたの顔を見に行くか知ってる』と切り出した。彼女はパトロン無しでこの店を始めた。頼る人もないときに僕の笑顔に救いを感じた。毎日お参りするつもりで、お店が1日無事で終わるように僕に願かけをしていたのだ。お神酒を飲んでお賽銭を¥500して僕の笑顔に手を合わせていたという。お賽銭箱に入れたお金を返すといわれても困る。その言葉に感動した僕は『いつでも駆けつけます。危ないことがあったらドアをたたいて』と言って帰ろうとしたら『つぼみのママには返したと言ってね。きっと聞くから』僕は約束して店に戻った。
やはりママが一番に『返してきた?』と僕の目を見た。前に努めていただらしのないママの話をして、つぼみのママの倫理性に目覚めたと話をした。そして女将の僕に願かけしてる話もした。『返してくることはできませんでした』と謝った。やはりママには嘘はつけない。いきなりママが僕の肩をつかんで『リュウちゃん。あなた いいこねえ』と言った。いきなりミキちゃんがママをお押しのけてハグしてきた。なんか盛り上がってるので私も仲間に入らないというような感じで玲子さんもハグしてきた。
 その時は何も特別なことという実感はなかった。ただ感動した女の子が存在しただけだ。。僕のことを理解した女の子はみな僕が好きだと大きな勘違いをした。
次の日玩具店に行ってこの話をした。主人は『君は良い生き方をしている。これから良い夢を捕まえろよ』といった。『僕の夢はあなたです。モデルガンショップを出したい』と答えたら『馬鹿な夢は持たないほうがいい。俺は玩具店をやっている。それで何とか細々とやっている。1か月で数丁しか売れないようなモデルガンで、やっていける訳がない』と熱く僕の為に言ってくれた。なんだか胸に大きな穴が開いた感じだった
(2017.9.26[Tue])

その4 つぼみでバーテンダー
その4 つぼみでバーテンダー
もとよりお酒のカクテルに興味もあり、いろいろ教わりながらカウンターを切り盛りした。お店にはパッチリな目をしたかわいいミキちゃん。和服の玲子さん。頭の少し変な明美ちゃん。お客さんのお目当てはもちろんママ。ある日カウンターでオープン前の用意をしていると、何か細い眼をした暗い女の人がカウンターに座っていた。カウンターのグラスが並べてある場所が鏡になっていて、その鏡でお化粧をしているようだった。僕を見ると『お早う』とボソッと言った。お早うございますと丁寧にあいさつをしたが誰だかわからなかった。しばらくすると何枚も着け睫毛をしたその子が美人になり始めた。『あれ?ミキちゃん?』。『誰だと思ったの』『妖怪筋目ちゃん』。ミキちゃんは驚いたような顔をして笑った。すると奥のボックスから『キャハハハ』とママが笑った。急に3人はチーム意識が芽生えた。
早い時間に向かいのお店の料理屋の女将(と言っても24〜5歳)がやってきた。毎日ビールを頼んで1杯だけ飲んで、お通しものに手を付けないで『リュウちゃん』と声をかけて『ねえ笑って』と続ける。にっこりほほ笑むと拝むようなしぐさをしてから『おあいそして』ビールが¥300で席料が¥200なので、はい¥500ですと伝えると、きまって¥1000札を出しておつりはあなたにと言って立ち去る。あるときいつもの様に『おビールお願い』とオーダーするけど、何か元気がない。いつもの様に『リュウちゃん笑って』ときたから踏み台に乗ってうんと顔を近づけて笑った。あまりにも悲しそうだったので思わずホッペニチュウをした。彼女は慌てて財布から5000円札を出すと、おつりはリュウちゃんにと言った。¥4500も多すぎますとおつりを返そうとしたが、無理やり押し返され慌てて店を出た。いきなりママが僕を睨み付け『リュウちゃん!お客さんにキスしてチップをもらうなんて最低だよ』と叫ぶように言った。『あなたにはいってなかったけど、女の子たちにはちゃんといってあるの。お客さんとキスは禁止。店の中でも外でも人目のあるとこでは禁止』。以前勤めてた谷間のママはお客さんをつなぎとめる為にしょっちゅうキスをしていた。それに比べるとうちのママはかっこよかった。確かに水商売にもプライドやポリシーは存在する。続く
(2017.9.5[Tue])

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