ガンブルーとは? |
そもそも材料である鉄の原料は、鉄鉱石と言われる、赤茶けたぐずぐずの石のようなものだ。それを人間が還元という方法で鉄をつくりあげた。鉄をそのまま放置すると酸素と結びつき(酸化作用)により、元のぐずぐずの赤茶けた石に帰ろうとする、いわゆる自然現象なのだ。それを食い止めるべくたたいたり磨いたりした。研ぎ澄まされた刀はある程度それで酸化作用を抑えられたが、鉄砲はそうはいかない。それで黒錆を先につけることにより、赤さびを発生させないようにできた。赤さびをが来る前に黒さびで表面をコートするのだ。それがガンブルーの始まりである。1970〜1980年ごろはコルトパイソン等の純正品がガンブルー仕上げで市販された。それは美しい蒼でしかも頑丈だった。私はそのころ米国で銃砲店に行く機会がありその藍に心奪われた。しかしながら表面を磨いたりする作業などで膨大なコストがかかるために、黒塗料を塗って焼き付ける作業で同じ赤錆を抑える効果が得られた。そのためにガンのフィニッシュは焼き付け塗装が多く用いられることになった。米国にはガンスミスという職業があるが、彼らの主な収入源はガンブルーである。表面を鏡のように磨き上げると、黒錆液は美しいガンブルーになるのだ。かくして銃愛好家たちは美しいガンブルーを好むことになる。玩具銃の世界でも同じことで、模型用の青のカラーをつけてもあの怪しいガンブルーには決してならない。模型用のカラーはアクリルとかナイロンなどが触媒に使われ、乾いたらギラギラした光が残る。CAROMのスチールブルーやメタルブルーは無機で製膜する。そのために1分ほどで指触乾燥し、触ることができ24時間で乾燥し、その際研磨することができる。細かい研磨剤で表面をつるつるにすると昔の1980年代の銃器メーカーのような綺麗なガンブルーを手に入れることができる。しかもかなり塗膜は強く、ブローバックの摩擦などでは剥がれることがない。かくしてブラックスチールも焼き付けの艶消し黒。ブルースチールやメタルブルーはガンブルー用に生産されている。もう一つはチタニュウムシルバーも無機である。どれも素早く乾燥して塗膜は十分強いのが特徴だ。 (2018.10.29[Mon]) |
バックナンバー