続・大阪のおっさん |
川本孝の今月のお話より 心斎橋2丁目の交差点から少し南に入った角に、ちょいと大きめの派出所があります。大きなカウンターの向こうには、スチールの事務机が4つ2列に並んでいる。座っているのはたった一人。40歳前後の制服のおまわりさんが、忙しそうにコンピューターに向かって、報告書を書いている様子。 「あのーすんまへん」と何か小汚いおっさんがカウンターから声をかける。 「なんや」と明るい声だけど、カウンターに行く様子も無いおまわりさん。 おっさん「逮捕してや、窃盗犯やで」 窃盗犯という声にピクリと反応したが「返してこい!あほ!」と怒鳴った。 おっさん「自首しに来たんやで」 警察官「どうせコンビニで歯ブラシでも盗ったんやろ」 おっさん「それだけとちゃう、歯磨き粉も盗ったんやでぇ」 警察官「はよ返してこい」 おっさん「逮捕してや・・・もうみっかもメシ食うてえへん」 警察官「被害届けもでんような、しけた盗みしくさって」 おっさん「どないしたら逮捕してくれんねん」 警察官「ええかぁおまわりさんがそんなこといえるわけないやろ!」 おっさん「あんた出世したないんかぁ」 警察官「俺を出世させてくれるんやったら、コンビニの店長どついて、レジの金もってこんかい!」 おっさん「それはたちが悪いわ」 ○ ○ ○ ○ 古臭い黒い電話のベルが鳴る。 先ほどのおまわりさん「はい2丁目派出所です」 電話の声「1丁目のファミリーアートですが」 警察官「どないしはりました?」 コンビニ店長「汚いおっさんが店はいってきて、いきなりハエ叩きで、私の顔をパシと叩いて、金出せていうんですわ」。 警察官「はあん」 店長「私もカチンきまして、おもいっきりどついてしもたんです」。 警察官「ええからほっときなさい」 店長「いやあそれが、交番に電話してくれちゅうてしつこいんですわ」 警察官「なんていうてます?」 店長「鼻血出して泣きながら、『あんたどついたん、わてがやったことにしといてんか』とわけのわからんことを・・・」 警察官「かめへんからもう一発どついたって」 (2021.5.18[Tue]) |
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